高野山の寺院や商店、一般家庭まで、建物の中のあちこちに切り絵の奉書がかけてあり、不思議に思う人も多いようです。これは「宝来」と言って、しめ縄の代わりに掛ける縁起物です。
宝来は、弘法大師・空海が中国からもたらしたもので、高野山には農地がなく、しめ縄を作る稲わらを入手するのが難しいことから、この宝来を神棚や床の間、玄関などに掛けます。
基本的には正月に掛け替え、一年中掛けておくところがほとんどです。
宝来は、様々な縁起物がかたどられていますが、最もよく見かけるのは「たま」と呼ばれる宝珠で、仏様が手に持っている「願いをかなえる宝の珠」のことです。
また、地元の人が毎年買い求めるのは翌年の干支の宝来で、これを正月に掛け替えます。
宝来は、表具屋や印刷屋など、昔から紙を扱う職人が作っています。干支は毎年一から型紙を起こして作ります。基本的には周りを雲の形にして、あまり複雑な形は彫るのが大変なので、シンプルに、洗練した形を職人が作ります。
ちなみに仏様の住む世界と現世との境を司ってもいて、仏様が現世をのぞけるように、切り絵になっているそうです。